通常、茶師という仕事は職人業。製茶工場にこもりお茶を磨き、火入れをし、また、合組みし美味しいお茶に仕上げるのが日常。なかなか表舞台には立ちません。しかし食の安全が謳われる世の中。作り手の顔が他の食物に比べお茶業界ははっきりしません。しかし私は工場とは別に店舗を構え、新しい世代の日本茶作りの担い手として、日本茶文化の継承と若い世代に日本茶の素晴らしさを後世に残すべく「茶来未」を立ち上げたのです。 お茶作りの合間を見ては、直接お客様の前に立ちお茶を淹れさせていただいております、それにより味のトレンド・嗜好・お茶を取り巻く環境が商品開発に活かせるのです。お茶の世界も作り手の顔が見えるよう日々努力をしていかなくてはいけないと私は考えます。
株式会社 茶来未 代表取締役
茶師佐々木 健
大学卒業後、調理の修業を経て料理人としての地位を確立し、料理専門誌やTVに多数出演。独立後、飲食店を多数展開する。調理人として参加していた事業で、同じく参加していた製茶工場の社長に「素材の捉え方、火の扱い、商品に対する感覚が日本茶の世界にはなかったものを持っている」と諭され、持ち前の好奇心から日本茶の製茶技術を学び、習得する。
現在「茶来未」では、お茶はもちろん、飲食店向けの緑茶や企業向けのオリジナル茶の商品開発など多岐にわたる商品づくりに取り組む。また、慣習にとらわれない製茶の手法は日本茶の世界で高い評価を得ており、多くのメディアや他業界からも注目されている。今後の日本茶業界を担う茶師の一人として、さらなる活躍が期待されている。
本来、日本では、“方言”のように産地により特徴のあるお茶が作られていました。海外で作られている紅茶やコーヒーと同じです。しかし、深蒸しという製茶が主流になり、栽培しやすいお茶の木が流通したことで、「緑色で濃いお茶=いいお茶」というイメージが定着。今日では、どこのお茶も似たり寄ったりな印象が否めません。お茶が標準語化してしまったのです。今、アイヌ語が絶滅するのではと危惧されていますが、お茶づくりにも同様のことが言えるのです。各地に根付いた伝統のお茶づくりが失われてしまうことは、お茶の文化そのものを失うことであり、それを復活させることは容易ではありません。
日本のお茶という文化遺産を大切に受け継いでいくために、時には産地とそこで働く農家さんの活性化を含めた、お茶づくりをしていきます。そして、日本各地に息づく評価されるべきお茶に、もう一度光を当てるべく、さらなる精進を続けていきます。