テアニンの発見によりお茶の評価基準が大きく変わりました。テアニンとはアミノ酸の一種で、お茶に含まれる成分の4割に当たると言われています。テアニンを摂取すると脳波にα波が出現。リラックス状態を示すことや、カフェインの興奮作用を抑制することが報告されています。また、記憶学習能力への影響やアルツハイマー型認知症予防にもその効果が期待されています。お茶を飲むと「ほっこりする」といいますが、この「ほっこりする」という感覚にはこうした科学的な根拠があり、それにはテアニンが関わっていることがわかってきました。
これらのことから、テアニンは人の「脳」や「心」に作用する成分と言えそうです。適度なテアニン摂取(お茶を飲むこと)は、体に良いといえるのではないでしょうか。
1950(昭和25)年、お茶に含まれるテアニンが京都の酒戸先生によって発見されました。つまり、アミノ酸含量が意識されるようになったのは、1950年代以降ということになります。それまではテアニンという物質は知られておらず、先人の知恵や感覚、体験の中からお茶を飲んでいたのだと思います。そして、現代人の味覚の変化により、知らず知らずのうちに日本茶離れが進んでしまったのかもしれません。
1950年以前のお茶は、今とは全く異なる方法で栽培されていました。明治~昭和初期と昭和25年頃の肥料の量を比較すると約12倍に増加。お茶の旨みを追求した結果と言われていますが、同時に土壌汚染や地下水への硝酸態窒素の流失など環境破壊という負の遺産を生み出しました。今日ではそれも減少傾向にありますが、「お茶に旨みを求める基準を、違う視点で解決できないか」という取り組みを「茶来未」では始めています。